相続通信 11月号
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借金などの負の遺産は・・・?

 

 相続における遺産として、現金預金や不動産、株式等の有価証券などは、すぐに思い浮かぶものだと思います。
 また、生命保険金や死亡退職金など、遺族が直接受け取るものであっても遺産であるという認識は容易にできると思います。
 しかし、借金などのマイナスの遺産が忘れられていることが多くあります。
 相続においては亡くなられた方(以下、被相続人)の財産・債務は基本、全て引き継ぐことになります。
 さらには、現存している借金に加えて、被相続人が連帯保証人になっていた場合には、その連帯保証人の立場も相続することになります。
すなわち相続とは、被相続人の全てを引き継ぐと言っても過言ではありません。
 従って、財産だけでではなく債務の事も考えて相続しなければなりません。
 特に、財産よりも借金の方が多い場合などは、そのまま相続してしまうと遺族が大変な思いをすることになってしまいます。
 これらを踏まえた上で、相続の仕方は以下の選択肢から選ぶことになります。
   ① 被相続人のプラスの財産もマイナスの借金も全て相続する(単純承認)
   ② 被相続人のプラスの財産もマイナスの借金も一切相続しない(相続放棄)
   ③ 被相続人のプラスの財産の範囲でマイナスの借金を引き受ける(限定承認)

 ①の単純承認は特に手続き等は必要なく、一般的に行われている相続のほとんどはこれに当たります。(②の相続放棄や、③の限定承認をしなかった場合や、相続人が遺産を処分した場合などには、自動的に単純承認したことになります。)
 前述の、財産よりも借金の方が多い場合などには②の相続放棄や、③の限定承認の選択肢を検討する必要があります。
 相続放棄・限定承認ともに、相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。
 また、連帯保証人の立場の相続についても、主たる債務者の状況や借金の金額によっては相続放棄を検討する必要が出てきます。(相続人が被相続人の借金の連帯保証人となっている場合の連帯保証人の立場は放棄できません。)
 相続放棄・限定承認の期限は相続開始から3ヶ月以内です。
 相続開始からの3ヶ月はあっと言う間です。
 相続が開始してから「被相続人がどんな財産をどのくらい持っていたのか?」「借金が有るのか無いのか?」「いくら有るのか?」「誰かの連帯保証人になっていないか?」を調べていたら手遅れになる場合があります。
 生前にこれらきちんと把握して家族に伝えておかないと 、家族を不幸にしてしまう可能性があります。

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