相続通信 2018年10月号
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生前贈与のあれこれ

 

 相続対策として、生前に資産を親族に贈与する場合があります。今回は、ケース別に生前贈与について見ていきたいと思います。

暦年贈与

生前贈与のうち、最もポピュラーなのが、暦年贈与です。暦年贈与の場合、年間110万円の基礎控除が設けられており、この金額の範囲内なら税金を負担しないで財産を贈与することができます。しかし、被相続人が亡くなった日前3年以内に相続人にされた贈与については、相続財産に加算されます。
相続人ではない孫などへ贈与した場合には、相続財産に加算されることはありませんので、世代を超えた贈与をする場合等に活用されています。

相続時精算課税

 相続時精算課税とは、60歳以上の両親や祖父母から20歳以上の子や孫への贈与について適用できる制度です。この制度の特徴は、基礎控除額が通算して2,500万円まであり、税率が一律20%であるという点です。例えば、平成29年に2,000万円の贈与を受けた場合には、2,500万円以下なので贈与税は発生しませんが、平成30年に1,500万円の贈与を受けた場合には、平成29年の贈与で2,500万円の枠のうち2,000万円を使ってしまっているので、残り500万円を控除した1,000万円に対して20%の税率をかけた200万円の贈与税が発生します。
また、暦年贈与とは異なり、被相続人が亡くなった日前3年以内に贈与された財産以外の財産についても相続財産に加算され、贈与を受けた人は、相続権がなくても相続人(受遺者)として課税されます。

贈与税の配偶者控除

 配偶者の贈与税額控除とは、婚姻期間が20年以上である夫婦間において、居住用不動産又は、居住用不動産を取得するための金銭の贈与があった場合に、贈与税の基礎控除110万円の他に、2,000万円の控除ができるものです。また、被相続人が亡くなった日前3年以内に相続人にされた贈与であっても、相続財産に加算する必要はありません。
先に贈与をしておけば、老後に住居がなくなるといった心配はなくなります。

申告が必要

 暦年贈与の場合には、贈与税が発生しないときには、贈与税の申告する必要はありませんが、相続時精算課税と贈与税の配偶者控除の場合には、贈与税が発生しなくても、これらの特例の規定の適用を受けるために、贈与税の申告をする必要がありますので、注意が必要です。 

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