相続通信 2019年11月号
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二次相続の検討

二次相続とは

 

 相続財産は、夫婦の協力によって形成されます。夫婦のどちらかお一方が亡くなられるのを一次相続、その後、もうお一方が亡くなられるのを二次相続と言います。

配偶者の税額軽減の注意点

 

 一次相続の際に、よく活用されるのが配偶者の税額軽減です。
 配偶者の税額軽減とは、1億6千万円(取得した財産の価額が1億6千万円より少ない場合には、その取得した財産の価額)と、配偶者の法定相続分に応じた財産の金額のいずれか少ない金額までは、相続税が課税されないというものです。

  配偶者の税額軽減を活用すれば、一次相続の際に課税される相続税が少なくなります。しかし、二次相続まで考えた場合には、税額が多くなる場合があります。

 

例 : 相続人・・・妻・長男・長女の3人  夫の遺産・・・1億円

・妻がすべて取得する場合
 夫にかかる相続(一次相続)の税額
  遺産総額が1億6千万円より少ないため、0円
 妻にかかる相続(二次相続)の税額 (1億円の財産がそのまま残ったものと仮定)
  100,000千円 ▲ 42,000千円(基礎控除額) = 58,000千円
  (58,000千円 × 1/2 × 15% - 500千円) × 2 =7,700千円 
 合計相続税額   7,700千円

 

・法定相続分に応じて取得する場合
 夫にかかる相続(一次相続)の税額
  100,000千円 ▲ 48,000千円(基礎控除額) = 52,000千円
  妻の相続税額・・・遺産総額が1億6千万円より少ないため、0円
  子の相続税額・・・ (52,000千円 × 1/4 × 15% - 500千円) × 2 =2,900千円
妻にかかる相続(二次相続)の税額  (5千万円の財産がそのまま残ったものと仮定)
  50,000千円 ▲ 42,000千円(基礎控除額) = 8,000千円
 (8,000千円 × 1/2 × 10%) × 2 = 800千円
合計相続税額   3,700千円

 

 例題の場合には、4,000千円もの差になります。配偶者の税額軽減を適用しただけでは一時的な効果しかありません。配偶者が取得した財産を贈与するなどして、二次相続の対策をする必要があります。

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